プロボクサーの減量方法
計量
タイトルにあえて”プロボクサーの”と書いたのは、アマチュアとプロでは計量に違いがあるため全てが同じようにはできないので書きました。
当日に計量を行うアマとは違い、プロでは前日に計量を行います。
前日に行うため試合までには30時間程時間ができることもあり、その分十分に回復を行えるので違いが生まれます。
そして減量は前回の投稿でも出したようにピーキングの一種であり、ゴールではありません。
計量をクリアすることだけを考えて普段より動けない体にならないように、あくまで試合に勝つための調整と位置付けて取り組んでいきましょう
減量の始め方
まずは始め方として何から設定していくかというと、水抜き量を設定していきます。
推奨としては契約体重の6~7%程度が安全に行えるレベルだと思いますので、例えばバンタム級(53.5kg)の体重で計算してみると、3.2~3.7kgが推奨量となります。
下記表を見ても分かる通り、当然水抜き量が増えるほどに危険度が高まるので注意しておきましょう。
そして水分は筋肉にも多く含まれているため、筋肉量が多い方がより多く水抜きが出来るということになります。
ただ、逆に言うとそこまで脂肪が残っている状態なのであれば水抜き量を増やす前に、もっと脂肪を減らすことが必要かと思います。
水抜き量が決まったら、その体重から今の体重まで何kgあるのかを把握して、減量(除脂肪)期間を決めていきます。
体重を落とすペースとしてはゆっくり落としていった方が筋量が落ちづらいので、ゆっくりとしたペースで落としていきましょう。
推奨ペースとしては、契約体重の0.5~1%/週と言われていますが、 私は約1.5%/週ペース程で進めていても筋量が落ちている感じがないのでこれで進めています。
推奨通りでまたバンタム級を例に考えてみると、53.5kg→267g~535g/週で落としていく事になります。
シュミレーション
わかりやすくここまでの話をまとめて実際に計算してみましょう。
例,
バンタム級(53.5kg) 男性ボクサー
通常体重61.5kg(契約体重の+15%)
水抜き量→3.7kg(7%)
53.5+3.7=57.2kg
61.5-57.2=4.3kg←脂肪で落としていく量
4.3÷0.535(週ペース)=8週←除脂肪期間
シュミレートするとこのようになります。
実際には普段の食事内容によって、開始前に浮腫んでいた水分が抜けた、試合前で練習強度が上がって多少なりグリコーゲン貯蔵が減ったことでそれに伴う水分が抜けたなどもあり、4.3kg全て脂肪で落とすということにはならないと思いますが、計算はこのように行います。
除脂肪期
次は水抜き以外の、上記でいう4.3kgの部分をどのように落としていくのかを説明していきます。
大前提としてまず知っておくのが、脂肪を落とす場合は
摂取カロリー<消費カロリー
にすること。
そして意外とやりがちなのが、摂取カロリーを下げすぎてしまうということです。
実際に私自身も4回戦時代なんかには、摂取カロリーを落とせばそれだけ落ちるんだろうと1日800kcalしかとっていない時もありましたが、そんな摂取カロリーではろくに動けず試合後のリバウンドもすごかったです。
ではどうすればいいのか?
お勧めしているのは、消費カロリーの20%減から始めること。
例えば普段の摂取カロリーが3000kcal程度で体重に変動がない場合、そのカロリーを20%カットの2400kcalでまずは設定します。
あとはなるべく筋量が落ちないように週ペース、体重の0.5-1%で落ちる程度に調整していきます。
カロリー制限の次にPFCバランスも重要だと思います。
PFCバランスとは?
P(プロテイン)→タンパク質
F(ファット)→脂質
C(カーボ)→糖質
この3つの摂取バランスのことで、私の推奨バランスとしては、
P→体重の1.5-2g
F→全体量の20-30%
C→残り
この程度の比率にするといいかと思います。幅があるので体の変動を見ながら適宜変えてみましょう。
実際に先程のシュミレーション体重と仮定して、2400kcalで設定してみると
P→61.5×2=123g→123×4=492kcal
F→2400×0.2=480kcal→480÷9=53g
(*kcalからgを計算したい場合は、糖質とタンパク質が÷4、脂質は÷9をします。)
C→2400-(492+480)=1428kcal→1428÷4=357g
なので
P=492kcal<123g>
F→480kcal<53g>
C→1428kcal<357g>
となります。
他にも食事のタイミング、量、頻度なんかも関係してきますが、まずこの紹介した2つが重要と思っています。
おすすめ書籍
減量の参考になった本を紹介します。
今日書いた徐脂肪期の話だけでなく、水抜きに活かせる知識やリカバリーに大事なことも載っていますので、上記3つは大変おすすめです。
まとめ
今回はプロボクサーの減量方法、設定の方法から徐脂肪期に関して書いていきました。
本来、その徐脂肪期が終わってから水抜きに入りますが、同時に書くと物凄いボリュームになってしまうのでそこはまた後日書いていきます。
最近ではコロナの関係で試合が決まりづらくなったこともあり、普段の体重が増えてしまって試合までに落とせないというケースがあるのではないのか、と考えています。
契約体重の+何%までなら落とせるぞ、というのを決めておいてそれ以上は増やさないというのも大事だと思います。
私が知っている部分はなるべく書いていきますので、参考になる部分は参考にして頂き、少しでも計量失敗が減ってくれることを祈ります。
最近のコメント